相続手続きで「相続人の本籍地」が必要な理由と戸籍取得時の住所地との違い・注意点
目次
相続手続きで戸籍を集めようとして戸惑った経験はありませんか?
相続手続きを進める際、金融機関や法務局から「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」を求められます。
このとき多くの方が戸惑うのが、「本籍地」と「住所地」の違いです。
「亡くなった父は三鷹市に住んでいたから、三鷹市役所で戸籍が取れる」と思って窓口に行ったら、「本籍地が違うので取得できません」と言われた、というケースは非常に多いです。
住民票は住所地の市区町村で取得できますが、戸籍謄本は本籍地でしか取得できません。
⚠ 本籍地を調べずに戸籍請求すると、無駄な手数料と時間を費やすことになります。
この記事で分かること
この記事では、相続手続きにおける「本籍地」の重要性と、実務での注意点を解説します。
- 本籍地と住所地の違い
- 本籍地の調べ方
- 本籍地が複数ある場合の戸籍収集の流れ
- 遠隔地の本籍地から戸籍を取得する方法
- よくある失敗例と対策
正しい知識があれば、戸籍収集をスムーズに進められます。
本籍地と住所地の違い
住所地とは
住所地とは、実際に生活している場所のことです。
住民票に記載されている住所が住所地で、住民税や健康保険証の発行などはこの住所地の市区町村が管轄します。
本籍地とは
本籍地とは、戸籍が保管されている場所のことです。
住所地とは異なり、日本国内であればどこでも設定できます。
例えば、東京都三鷹市に住んでいる方が、先祖代々の土地がある北海道を本籍地にしていることもあります。
また、皇居や富士山頂を本籍地にすることも法律上は可能です(実際に住んでいる必要はありません)。
相続手続きで重要なのは本籍地
相続手続きで必要な戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場でしか取得できません。
住所地の市区町村では、本籍地が異なる場合は一切取得できません。
相続手続きでは被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。
戸籍収集についても併せてご確認ください。
本籍地の調べ方
■ 住民票の除票で確認する(最も確実)
被相続人の最後の本籍地は、住民票の除票で確認できます。
住民票の除票を請求する際、申請書の「本籍・筆頭者の記載」欄にチェックを入れると、本籍地が記載されます。
住民票の除票は、被相続人の最後の住所地の市区町村役場で取得できます。
この情報をもとに、本籍地の市区町村で戸籍謄本を請求します。
■ 相続人自身の戸籍謄本で推測する
配偶者や子供が相続人の場合、相続人自身の戸籍謄本を取得すると、被相続人の本籍地の手がかりが得られることがあります。
ただし、相続人が婚姻などで親の戸籍から抜けている場合、直接的な記載がないこともあります。
■ 運転免許証や保険証では分からない
運転免許証や健康保険証には本籍地は記載されていません。
本籍地を確認するには、公的な証明書(住民票の除票や戸籍の附票)が必要です。
本籍地が複数ある場合の戸籍収集の流れ
被相続人が生涯で一度も転籍(本籍地の移動)をしていなければ、一つの市区町村で出生から死亡までの戸籍が揃います。
しかし、実際には結婚・離婚・引っ越しなどで転籍しているケースが大半です。
■ 戸籍の「従前本籍」を辿る
転籍している場合、最後の本籍地で取得した戸籍謄本には、「従前本籍」という欄があります。
これが一つ前の本籍地です。
この従前本籍地の市区町村役場に、さらに古い戸籍を請求します。
これを出生時まで繰り返すことで、出生から死亡までの連続した戸籍を揃えることができます。
■ 遠隔地の本籍地の場合
本籍地が遠方の場合、郵送で戸籍謄本を請求できます。
請求には以下が必要です。
- 戸籍謄本等請求書(市区町村のホームページからダウンロード可)
- 本人確認書類(運転免許証など)のコピー
- 請求者と被相続人の関係を示す戸籍謄本のコピー
- 手数料分の定額小為替(郵便局で購入)
- 返信用封筒(切手を貼付)
郵送請求は通常1〜2週間程度かかるため、余裕を持って手続きしましょう。
相続手続に必要なものも併せてご確認ください。
よくある失敗例と対策
【失敗例1】住所地と本籍地を混同して請求
「亡くなった母は三鷹市に住んでいたから」と三鷹市役所で戸籍を請求したが、本籍地が調布市だったため取得できなかった。
対策
まず住民票の除票で本籍地を確認してから、戸籍を請求しましょう。
住民票の除票は住所地の市区町村で取得できます。
【失敗例2】本籍地の変遷を追えず途中で断念
最後の本籍地で戸籍を取得したが、従前本籍が複数あり、どの順番で請求すればいいか分からなくなった。
対策
戸籍に記載されている従前本籍を時系列で整理し、一つずつ順に請求していきます。
分からなくなったら、各市区町村の戸籍係に電話で相談すると、丁寧に教えてもらえることが多いです。
【失敗例3】相続登記の期限を意識せず戸籍収集を後回し
戸籍収集が面倒で放置していたら、相続登記義務化の期限(3年以内)が迫ってしまった。
対策
2024年4月1日より相続登記が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。
戸籍収集は時間がかかるため、早めに着手しましょう。
相続登記の義務化についてで詳しく解説しています。
【失敗例4】相続人が多く、誰の本籍地を調べればいいか分からない
相続人が複数いる場合、全員の本籍地を調べる必要があると思い込んでいた。
対策
相続手続きで必要なのは被相続人の戸籍です。
相続人自身の戸籍は、遺産分割協議書や相続登記の際に必要ですが、これは相続人の現在の本籍地で取得すればOKです。
遺産分割協議書の作り方もご参照ください。
専門家に依頼すべきケース
以下のような場合は、司法書士に戸籍収集を依頼することをお勧めします。
- 本籍地が複数あり、追跡が複雑
- 相続登記の期限が迫っている
- 仕事が忙しく、平日に市区町村役場に行けない
- 遠方の本籍地が多く、郵送手続きが煩雑
- 戸籍の読み方が分からず、相続人の確定ができない
司法書士は職務上請求という制度を利用して、依頼者に代わって戸籍を取得できます。
全国どこの本籍地でも対応可能で、通常1ヶ月〜1ヶ月半程度で出生から死亡までの戸籍を揃えることができます。
相続登記サポート(66,000円〜)では、戸籍収集から登記申請まで一括してお任せいただけます。
みたか相続遺言相談プラザへの相談案内
みたか相続遺言相談プラザでは、相続手続きに関する初回無料相談を実施しています。
戸籍収集でお困りの方、相続登記の期限が迫っている方は、お気軽にご相談ください。
三鷹市・武蔵野市・調布市・杉並区西部・小金井市・西東京市を中心に、累計3,210件超の相続相談実績があります。
- 事務所所在地: 東京都三鷹市下連雀(三鷹駅徒歩8分)
- 代表: 司法書士 安井大樹(実務経験20年以上)
- 初回相談: 無料
相続・遺言の無料相談についての詳細はこちらをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 本籍地が分からない場合、どうすればいいですか?
被相続人の最後の住所地で、本籍記載ありの住民票の除票を取得してください。
そこに記載されている本籍地の市区町村で戸籍謄本を請求できます。
Q2. 本籍地が何度も変わっている場合、全部の市区町村に請求が必要ですか?
はい、出生時から死亡時までの連続した戸籍が必要なため、本籍地が変わるたびに、それぞれの市区町村に請求する必要があります。
司法書士に依頼すれば、職務上請求で一括して取得できます。
Q3. 戸籍謄本と戸籍抄本の違いは何ですか?
戸籍謄本は戸籍に記載されている全員の情報が載っています。
戸籍抄本は特定の個人のみの情報です。相続手続きでは、通常「戸籍謄本(全部事項証明書)」が必要です。
Q4. 相続登記をしないで放置すると、本当に過料が科されますか?
2024年4月1日以降に相続が発生した場合、不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。
過去相続(2024年4月1日より前)についても、2027年3月31日までに登記する必要があります。
⚠ 本記事の情報は2026年2月時点のものです。最新の法令や実務運用については、司法書士にご確認ください。
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この記事の執筆者
- イージス&パートナーズ司法書士法人 代表 安井大樹
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保有資格 司法書士、行政書士 専門分野 相続全般 経歴 平成14年(2002年)司法書士資格取得し、相続を専門として業界20年以上の豊富な経験と知識を持ち合わせる。
2017年6月 著書『ひとりでできる 実家の相続登記』を出版
2022年12月9日発売のPRESIDENT【2022.12.30号】に『2024年義務化 「相続登記」を自分で済ませるレッスン』が掲載
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