将来のリスクを考慮した相続登記
相談前の状況
お父様がお亡くなりになり、お父様名義の土地・建物について相続登記を行いたいとのご相談をいただきまし
た。相続人はお母様とお子様方でした。当初は、「配偶者である母が不動産を引き継ぐのが自然ではないか」と
のお考えから、お母様名義にする方向で話が進んでいました。
しかし、お母様はご高齢であったため、ご相談者であるお子様から「今後、認知症を発症した場合、不動産の
売却や活用ができなくなるのではないか」との不安の声がありました。どのような形で相続することが将来的な
負担やリスクの軽減につながるのか悩まれていました。
相談後の結果
相続人の皆様から現在のご状況や今後のご意向を丁寧にお伺いしたうえで、お母様が取得した後に認知症を発
症した場合には、不動産の売却や担保設定などの手続きが困難となり、家族信託等の利用を検討しなければなら
ない可能性があることをご説明しました。
そのうえで、将来的な不動産の凍結リスクを回避する方法として、遺産分割協議により、お父様名義の不動産
をお子様が直接相続する方法をご提案しました。
相続人の皆様で十分に話し合いを重ねていただいた結果、全員のご理解とご同意を得ることができ、ご相談者
であるお子様への相続で遺産分割協議が成立しました。その後、必要書類の収集から相続登記の申請まで当事務
所でサポートし、無事に名義変更手続きを完了することができました。
みたか相続遺言相談プラザからのコメント
相続では、「まずは配偶者が相続する」という選択が一般的に考えられることも少なくありません。しかし、
ご高齢の相続人が不動産を取得する場合には、将来的な認知症の発症によって財産管理や処分が難しくなるリス
クについても検討することが大切です。
どなたが財産を取得するのが最適かは、ご家族の関係性や生活状況、ご本人のご意思によって異なります。数
年先を見据えた視点でご家族全員が納得できる方法を選択することで、将来の負担やトラブルの予防につながり
ます。
相続手続きでは、法律上可能な方法の中から、ご家族にとって最も適した選択肢を検討することが重要です。
不安や疑問を抱えたまま手続きを進めるのではなく、早い段階で専門家へ相談し、将来を見据えた対策を考えて
おくことをおすすめします。
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この記事の執筆者
- イージス&パートナーズ司法書士法人 代表 安井大樹
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保有資格 司法書士、行政書士 専門分野 相続全般 経歴 平成14年(2002年)司法書士資格取得し、相続を専門として業界20年以上の豊富な経験と知識を持ち合わせる。
2017年6月 著書『ひとりでできる 実家の相続登記』を出版
2022年12月9日発売のPRESIDENT【2022.12.30号】に『2024年義務化 「相続登記」を自分で済ませるレッスン』が掲載
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