相続手続きで「相続関係説明図」を作成する目的と書き方・提出先
目次
相続手続きで「相続関係説明図」の提出を求められたら
相続登記や銀行の手続きを進める際、「相続関係説明図を提出してください」と言われて戸惑った経験はありませんか。
聞き慣れない書類名に、「何を書けばいいのか」「どこで入手できるのか」と不安になる方も多いでしょう。
相続関係説明図とは?この記事でわかること
相続関係説明図とは、被相続人(亡くなった方)と相続人の関係を一目でわかるように図式化した書類です。
戸籍謄本の内容を整理して、家系図のような形式で表現します。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 相続関係説明図を作成する目的とメリット
- 記載すべき必須項目と書き方の実例
- 提出先ごとの形式の違いと注意点
- よくある記載ミスとその対策
- 専門家に依頼すべきケースの判断基準
相続関係説明図を作成する3つの目的
目的1:戸籍謄本の原本還付を受けるため
相続登記を法務局に申請する際、通常は戸籍謄本の原本を提出します。
しかし、同じ戸籍謄本を複数の銀行や証券会社でも使う必要がある場合、原本が返ってこないと困りますよね。
相続関係説明図を添付すると、戸籍謄本の原本を返却してもらえます。
これにより、同じ戸籍謄本を何度も取得する手間と費用を省けます。
目的2:相続人の確認作業を効率化するため
戸籍謄本は、出生から死亡まで連続して取得すると、多い場合は10通以上になることもあります。
金融機関や法務局の担当者が、膨大な戸籍を読み解いて相続人を確認するのは大変な作業です。
相続関係説明図があれば、相続人の範囲と続柄が一目で把握できるため、審査がスムーズに進みます。
戸籍収集についての記事でも触れていますが、戸籍の読み取りには専門知識が必要です。
目的3:遺産分割協議の基礎資料として活用するため
相続人が複数いる場合、誰が法定相続人なのかを明確にすることが、遺産分割協議の第一歩です。
相続関係説明図を作成することで、法定相続分や続柄を視覚的に整理できます。
💡 特に相続人が多い場合や、面識のない相続人がいる場合に有効です。
相続関係説明図に記載すべき必須項目
被相続人の情報
- 氏名(最後の本籍地での氏名)
- 最後の本籍
- 最後の住所
- 生年月日
- 死亡年月日
⚠ 本籍地と住所は異なります。戸籍謄本に記載されている本籍地を正確に転記しましょう。
相続人の情報
各相続人について、以下の項目を記載します。
- 氏名
- 生年月日
- 被相続人との続柄(配偶者、長男、長女など)
- 住所(相続登記の場合は必須)
相続人の中に既に亡くなっている方がいる場合は、その旨と死亡年月日も記載します。
この場合、代襲相続(だいしゅうそうぞく)が発生している可能性があるため、法定相続と相続人についてのページで代襲相続の仕組みを確認しておくとよいでしょう。
図式の書き方の基本ルール
相続関係説明図は、法律で様式が定められているわけではありません。
ただし、一般的な書き方のルールがあります。
- 被相続人を中心に配置する
- 配偶者は被相続人の横に二重線で結ぶ
- 子は被相続人の下に単線で結ぶ
- 兄弟姉妹が相続人の場合は、被相続人の親を上に記載してから兄弟を記載する
- 養子がいる場合は、「養子」と明記する
💡 手書きでもパソコンで作成してもかまいません。エクセルやワードのテンプレートを活用するのも効率的です。
提出先ごとの形式の違いと注意点
法務局(相続登記)の場合
相続登記で提出する相続関係説明図には、証明文を末尾に記載することが一般的です。
例:「上記のとおり相続関係に相違ないことを証明します。」
不動産の名義変更(相続登記)の手続きのページで、相続登記の全体の流れを確認できます。
金融機関(預貯金の名義変更)の場合
銀行や証券会社では、相続関係説明図を「家系図」と呼ぶこともあります。
金融機関によっては、独自の書式を指定される場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。
⚠ 一部の金融機関では、相続関係説明図だけでは不十分で、戸籍謄本の原本提出を求められるケースもあります。
預貯金の名義変更のページで、金融機関での手続きの注意点を詳しく解説しています。
法定相続情報証明制度との違い
法務局が発行する「法定相続情報一覧図」は、相続関係説明図と似ていますが、法務局の認証を受けた公的な証明書です。
一度取得すれば、戸籍謄本の束を何度も提出する必要がなくなるため、非常に便利です。
詳しくは相続手続きで「法定相続情報証明制度」を活用するメリットと取得方法のページをご覧ください。
よくある記載ミスと対策
【ケース1】本籍地と住所を混同してしまう
「本籍」は戸籍がある場所で、「住所」は実際に住んでいる場所です。
相続関係説明図では、被相続人の最後の本籍と最後の住所を両方正確に記載する必要があります。
対策: 戸籍謄本と住民票の除票(じょひょう)を見比べながら記載しましょう。
【ケース2】相続人の範囲を誤る
戸籍を読み間違えて、相続人ではない人を記載してしまったり、逆に相続人を漏らしてしまうミスがあります。
特に、前妻の子や養子、認知された子がいる場合は注意が必要です。
対策: 戸籍謄本を出生から死亡まで連続して取得し、全ての身分事項を確認します。
不安な場合は、相続手続に必要なもののページで必要書類を再確認しましょう。
【ケース3】数次相続(すうじそうぞく)の記載漏れ
相続手続き中に別の相続人が亡くなった場合、「数次相続」という状態になります。
この場合、最初の相続と次の相続の両方を相続関係説明図に記載する必要があります。
対策: 数次相続が発生している場合は、図が複雑になるため、専門家に相談することをおすすめします。
専門家に依頼すべきケース
以下のような場合は、司法書士に相談することをおすすめします。
■ 相続人が多数いる、または面識のない相続人がいる
相続人が5人以上いる場合や、海外在住の相続人がいる場合は、図が複雑になります。
また、面識のない相続人がいる場合の連絡調整も専門家に任せた方がスムーズです。
■ 数次相続や代襲相続が発生している
相続人の中に既に亡くなっている方がいる場合、その子(孫)が代襲相続人になります。
この場合の相続関係説明図は、法律知識がないと正確に作成することが困難です。
■ 養子縁組や認知、前婚の子がいる
家族関係が複雑な場合、戸籍の読み取りだけでも専門知識が必要です。
誤った相続関係説明図を作成すると、後で遺産分割協議のやり直しが必要になることもあります。
■ 相続登記や遺産分割協議もまとめて依頼したい
相続関係説明図の作成だけでなく、相続登記や遺産分割協議書の作成、戸籍収集も含めて一括で依頼したい場合は、相続手続き丸ごとサポートのご利用をご検討ください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 相続関係説明図は手書きでもよいですか?
はい、手書きでも問題ありません。
ただし、楷書で丁寧に記載し、修正液の使用は避けることをおすすめします。
Q2. 相続関係説明図に押印は必要ですか?
提出先から求められない限りは一般的には不要となります。
Q3. 法定相続情報一覧図があれば、相続関係説明図は不要ですか?
法定相続情報一覧図は、法務局が認証した公的な証明書なので、相続関係説明図の代わりに使えます。
むしろ、法定相続情報一覧図の方が金融機関での受付がスムーズです。
Q4. 相続関係説明図の作成を司法書士に依頼した場合の費用は?
戸籍収集や相続登記とセットで依頼する場合、相続関係説明図の作成費用はサポート料金に含まれることが一般的です。
詳しくは料金表のページをご覧ください。
Q5. 相続関係説明図を間違えて提出してしまった場合、どうなりますか?
法務局や金融機関から補正(訂正)を求められます。
重大な誤りがある場合は、遺産分割協議のやり直しが必要になることもあるため、作成前に専門家に確認することをおすすめします。
⚠ 本記事の内容は2026年2月時点の法令に基づいています。最新の法令や実務の取扱いについては、司法書士にご確認ください。
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この記事の執筆者
- イージス&パートナーズ司法書士法人 代表 安井大樹
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保有資格 司法書士、行政書士 専門分野 相続全般 経歴 平成14年(2002年)司法書士資格取得し、相続を専門として業界20年以上の豊富な経験と知識を持ち合わせる。
2017年6月 著書『ひとりでできる 実家の相続登記』を出版
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