公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が遺言者の口述をもとに、遺言書を作成し、その原本を公証人が保管するもので、安全で確実な遺言書であることは間違いありません。
口述の際には、2名以上の証人立会いが必要です。
公証人が作成した遺言書に、遺言者、証人、公証人が署名押印すれば、公正証書として認められます。
目次
公正証書遺言の作成手順
(1)誰に、どの財産を、どれだけ相続させるのかあらかじめ決める
①財産の洗い出し
まずは遺言者自身の財産の洗い出しを行います。
多くの人が該当する財産としては、不動産、預貯金、株式があります。
特に預貯金については、通帳等を確認しながら定期預金を含めて現在の残高がいくらあるのかを確認しておく必要があります。
①不動産…「固定資産税納税通知書」を確認(毎年届くもの)
②預貯金…各金融機関が口座あれば、各金融機関ごとの通帳を確認
③株式…毎年証券会社から届く「取引残高報告書」を確認
②誰に相続をさせるかを決める(財産を渡す人を決定)
上記で洗い出した財産をもとに、遺言を作成する本人が「誰に財産を渡したい」のか決定します。
これは、第三者が決めることができませんので、予め確定するようにしましょう。
(2)証人を2人以上を決定
※推定相続人、未成年者、公証人の配偶者・四親等以内の親族、書記および使用人などは証人の資格がありません。
(3)公証人と日時を決定
公証役場に依頼し、出向けない場合出張してもらうことも可能です。
(4)必要書類を収集
ⅰ)遺言者の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)、戸籍謄本(遺言者と相続人との続柄がわかるもの)
ⅱ)住民票(相続人以外の人に遺贈する場合)、法人の登記簿謄本(会社等の法人に遺贈する場合)
ⅲ)財産特定のための不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書
ⅳ)預金通帳のコピー
ⅴ)証人の住民票などが必要です。
(5)遺言の原案を作成
作成された原本は、原則として20年間公証役場に保管されます。
20年間の期間が経過した後でも、特別の事由により保管の必要がある場合は、その事由がある間は原本は保管されます。
実務の対応としては、20年経過後も原本を保管しているのが通常ですので、事前に公証役場に確認しておくのがよいでしょう。
公正証書遺言をお勧めする理由
遺言書の紛失や偽造を防止できることと、法的に間違いのないものが作成できることです。
また、公正証書遺言は、日本公証人連合会が運営する検索システムに登録され、全国どこの公証役場でも検索でき、遺言公正証書の有無は容易に確認できるようになっています。
遺言者の生前は、公正証書遺言の閲覧、謄本の請求は、遺言者本人以外はできません。
この記事の執筆者
- イージス&パートナーズ司法書士法人 代表 安井大樹
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保有資格 司法書士、行政書士 専門分野 相続全般 経歴 平成14年(2002年)司法書士資格取得し、相続を専門として業界20年以上の豊富な経験と知識を持ち合わせる。
2017年6月 著書『ひとりでできる 実家の相続登記』を出版
2022年12月9日発売のPRESIDENT【2022.12.30号】に『2024年義務化 「相続登記」を自分で済ませるレッスン』が掲載
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